「自律神経を整えるために、リラックスしましょう」
よくそう言われます。
深呼吸をして、肩の力を抜いて、ゆったり過ごす。
もちろん、心身を休めることはとても大切です。
でも、パソコン教室を長く続けて生徒たちの姿を見ていると、ふと思うのです。
整えるって、本当に「リラックスして脱力すること」だけなのだろうか、と。
私たちの身体には、活動や集中のときに働く「交感神経」と、休息や回復のときに働く「副交感神経」があります。この2つが状況に合わせてしなやかに切り替わることこそが、本来の調和です。
ところが現代では、「交感神経=緊張・ストレス(悪者)」「副交感神経=リラックス(正義)」のように捉えられてしまうことが少なくありません。
けれど、本当にそうでしょうか。
【教室での体験】本番の緊張の中で、普段以上の力が出る瞬間
私の教室では今、子どもたちがオンラインのタイピング大会に向けて練習を重ねています。
約2ヶ月間、毎日コツコツ練習して、本番はたった1回きりの一発勝負。
だからみんな、「本番なんて嫌だ」「大きなミスをしたらどうしよう」と、始まる直前はガチガチに緊張しています。
心臓はバクバク、息も上がって、交感神経がフル稼働している状態です。
リラックスとは完全に正反対の場所にいます。
ところが、いざスタートの合図が鳴ると、不思議なことが起きます。
本番に限って、普段の練習では一度も出なかったような最高記録を叩き出す子がたくさんいるのです。
信じられないスピードで指がすらすらと動き、打ち終わった後に本人が
「えっ、打てすぎちゃった…どこか一行飛ばしちゃったんじゃないかな」
と、逆に心配して画面を見つめるくらいです。
あの瞬間、子どもたちの体の中では何が起きているのでしょう。
緊張がピークに達したとき、
「うまく打てるかな」「失敗したらどうしよう」という頭の中の余計なおしゃべりが、ふっと一瞬で消え去るのです。
目の前の画面と指先だけがひとつになって、完全な「夢中」に入り込む。
心拍数は上がっているのに、頭は驚くほど静かで澄みわたっている。
交感神経がぐっと高まるからこそ発揮できる、素晴らしい集中力。
あれも間違いなく、身体が最高に「整っている」瞬間です。
【たとえ話】パソコンがフリーズするのは、動いているからではない
もし、リラックス(副交感神経)だけが正解なら、何かに夢中になっているときや、ここぞという勝負のときに力を発揮している人は、みんな「乱れている」ことになってしまいます。
もちろん、そんなことはありません。
大切なのは、どちらか一方に偏ることではないのです。
集中して力を発揮したいときには、交感神経がしっかり立ち上がる。
そして役目を終えたら、副交感神経へとスムーズにバトンが渡り、安心して「ふーっ」と力を抜ける。
パソコンもまったく同じです。
画面がフリーズしてしまうのは、作業しているからではなく、裏側でいろんな余計な負荷がぐるぐる回りっぱなしになっているとき。
必要なときにすっと動き、使わないときには静かに休まる。
その「切り替えのしなやかさ」こそが、自律神経の本来のバランスです。
【音に委ねる】頭の重荷を下ろし、自然なギアチェンジを取り戻す
ブレインハーモニーの音も、「ただぼーっと脱力させるため」だけのものではありません。
音に耳を傾けていると、頭の中で無意識にぐるぐると回っていた考えごとが、ふっとほどけていきます。
余計な重荷がすっと消えて、本来の身軽な自分に戻る感覚。
頭の中の余計なおしゃべりが静まるからこそ、
休みたいときには深い休息へ(副交感神経)、
動きたいときには迷いのない集中へ(交感神経)、
身体が自然とギアを切り替えられるようになります。
アクセルを踏んで夢中になる時間も、
ブレーキをかけて深く休む時間も、
どちらもあなたを生かしてくれる大切な力。
「もっとリラックスしなきゃ」
「いつも穏やかでいなきゃ」
そうやって力を抜くことまで頑張らなくて大丈夫です。
いつも一定でいることではなく、日々の波に合わせてしなやかに行き来できること。
その自然なバランスを、音とともに思い出していけたらいいなと思っています。
Sound for Harmony
心を静かに整える音(Clover)
肩の力を抜いて、ほんの数分、音の響きに耳を委ねてみてください。
ブレインハーモニー主宰
藤瀬 美奈
日々の音と、調律のひととき